ラブスプーン
ウェルシュゴールド100%の指輪は経済的に難しくても、
愛の証を手渡すすべが、ウェールズにはもうひとつ、あります。
それは、ラブスプーン。
装飾的な彫刻を施した木製のスプーンで、
ウェールズで17世紀に盛んになった
ロマンティックな愛情表現です。
男性が心をこめて彫りあげ、愛する女性に贈り、
受け取ってもらえたら婚約成立、
少なくとも結婚を前提としたおつきあいを快諾する、
という意味を持ちました。
ご注目いただきたいのは、柄の部分のさまざまなシェイプ。
ハートはもちろん「不変の愛」、
ベルは教会の鐘を鳴らすことから「結婚」、
鎖は「おたがいの人生がつながれていること」、
車輪は「労働」、枠に入った珠は「欲しい子どもの数」など、
ひとつひとつに意味があるのです。
そこで口下手な若者は
想いをこれらのシンボルに託すことができました。
「愛しています。一生懸命働きますから、結婚してください。
子どもはふたり欲しいな」なぁんて。
ラブスプーンはおつきあいが始まったころに
渡されるものだったので、
憎からず思っていた男性からそんなメッセージを送られると、
女性も嬉しかったのでしょうね。
受け取り拒否のラブスプーンがあったとは、
聞いたことがありません。
ところで、「なぜスプーンなの?」と思いませんでした?
確かにプレゼントとしては素朴ですよね。
その理由は、食べものを口に運ぶ道具だから。
「決してあなたを飢えさせません。一生養います」
という意味が含まれているのです。
ただし、その装飾性から、
実際の食事で使われることはありません。
愛情がこめられた世界にひとつだけの贈りものなのだから、
やはり大切に飾っておかないとね。
現在では男性からの愛の告白といった意味あいは薄れ、
結婚記念日や誕生日の贈りものに、またおみやげとして、
老若男女を問わず、ラブスプーンは贈られます。
お店に行けば売っているので、
不器用な男性にはありがたいかな?
趣味のクラフトとしても人気で、
手づくり教室はいつも賑わっているようです。
<もっとトリヴィア>
せっかくだから、もう少しシンボルをご紹介。
ウェールズで買われるときの参考にどうぞ。
シンボル |
意味 |
碇(いかり) |
家にとどまる。(結婚して)落ち着きたい。 |
十字架 |
信仰。結婚(教会で結婚式を挙げるから) |
ダフォデル(水仙) |
ウェールズの国花。 |
ダイヤモンド |
富。裕福さ。 |
2つのスプーン |
ともにいること |
3つのスプーン |
家族 |
ドラゴン |
ウェールズのシンボル。 |
ブドウ |
愛が育つこと |
ハープ |
ウェールズのシンボル |
2つのハート |
おたがいに同じ気持ちを持っている。 |
蹄鉄 |
幸運と幸福 |
鍵と錠 |
安全。私の家はあなたの家。 |
結び目 |
永遠に離れない。 |
葉 |
成長する愛 |
輪 |
永遠に離れない。 |