アイステッズヴォド③
~アート&カルチャー&ウェールズ語の祭典~
そもそものはじまりで吟唱詩人たちとは別に
楽人の腕くらべもあったほどですから、
現代のアイステッズヴォドでも
音楽コンクールは大きなウェイトを占めています。
性別や年齢、人数ごとにカテゴリーを
細かく区分した独唱や重唱、合唱に、
ハープ、ブランスバンド、ピアノなどの楽器演奏、
さらにはフォーク、賛美歌、ミュージカルと、
部門の多さは、さすが“歌の国”と称される
ウェールズならでは。
近年はどんどんジャンルが広がり、
ダンスや朗読、漫談のコンテストまであるんですよ。
でも競いあうのは夕方まで。
夜のお楽しみは、観劇やコンサートです。
地元の劇団によるコメディから
世界に名だたるオペラ歌手のステージまで、
お好み次第でよりどりみどり。
若者パワーが炸裂するウェルシュ・ロックの
特設会場も、用意されています。
いまではビッグネームとなったバンドの多くが、
このステージで第一歩を踏み出しました。
舞台芸術だけではありません。
アイステッズヴォドには絵画や彫刻、
工芸品などもずらり。
ウェールズ全土から4000人を超える
アーティストが作品を展示します。
まさにアート&カルチャーの祭典なんですね。
さらにもうひとつ、アイステッズヴォドの
役割として忘れてはならないのが、
“ウェールズ語の復権と振興”です。
このフェスティバルがすべてウェールズ語で
行われるのは、そのため。
父祖から受け継いだいにしえの言葉を守り、
広めていくために、ウェールズ語学習者のための
特設会場も設けられます。
日ごろの勉強の成果を試すべく“今年の学習者賞”に応募してもよし、
カフェでネイティブスピーカーとのおしゃべりを楽しんでもよし。
レベルにあわせたテキストや教材、資料も手に入ります。
挫折しがちな学習者には、いいモチベーションとなりますよね。
「でもそれは、少しでも勉強している人向けでしょう。
興味はあってもすべてウェールズ語なら、
行ってもまったく理解できないし……」と躊躇されている方、
どうぞご安心を!
なにしろ、ウェールズ語が話せるウェールズ人は、
いまでも全体の約2割なんですから。
セレモニーでは英語の同時通訳のヘッドフォンがあるし、
野外でも、このようにバイリンガルの案内人が
あちこちにスタンバイしています。
わからないことがあったら、どんどんたずねましょう。
でも、そんなときはせっかくだから、
ちょっとだけウェールズ語で話しかけてみませんか?
「ボレダ!ドゥイン ドード オ ジャパン
Boreda! Dw i'n dod o Siapan
(こんにちは! 日本からきました)」と言えば、
「はるか極東の国から来て、ぼくたちの言葉を
話してくれるなんて!」と感激されること、間違いナシ。
あとはカタコト英語でも、きっと懇切丁寧に教えてくれますよ。