ウェールズ人の呼び名

courtesy of Photolibrary Wales
courtesy of Photolibrary Wales

ウェールズ人の名前の項でお話ししたたように、

なぜかウェールズ人の姓はとても少なく、

ジョーンズ(Jones)を筆頭に同姓の人が山ほどいます。

そうなると当然、識別の必要が出てきますよね。

おしゃべりのなかで、だれのことを言ってるのか、

わからないといけませんから。

 

この問題に、ウェールズ人たちは、名前の後にその人物の

職業や特徴を加えることによって対処してきました。

しかも、ユーモラスに。

 

たとえばパン屋さんなら、Jones the Breadという具合。

よく見ると、パン屋を意味するbakery ではなく、

パンそのもののbreadとなっているところがミソです。

自動車修理工のWilliams the Start Upなんて、

ニヤっとさせてくれるでしょう?

大酒飲みのEvans the Bottleなんていうのもあったそうです。

 


なかには理由を聞かなければ謎に包まれた呼び名もあります。

Dai Six Months――“6ヶ月のダイ”と呼ばれた人物は、

屋根から落ちて片方の耳を失いました。

ear(耳)が半分になったのでyear(年)とかけて、

半年=6ヶ月の呼び名が献上されたのです!

 

実は、この風習をはじめて知ったとき、それは昔のことで

現代ではとっくになくなっていると思っていました。

ところが、あにはからんや。

わたしがお世話になった家の奥さまは、故郷の村に帰ると、

こう呼ばれるのだそうです。

Gwenda Two Dogs――いつもペットの犬を2匹連れているから!

 

ヒュー・グラントが主演した映画『ウェールズの山』は

この風習にのっとり、主人公がすばらしく長く謎めいた呼び名を

奉られるようになるまでの、ウェールズの小さな村での物語です。

 原題はThe Englishman Who Went Up A Hill But Came Down A Mountain

(丘に登って山から下りてきたイングランド人)。

なぜそう呼ばれるようになったのか? 

ご興味がおありの方は、ぜひご覧ください。